屋上・陸屋根の防水工事

屋根・陸屋根防水

屋上や陸屋根の異常に気付くの遅れる理由

マンションの屋上からの雨漏りは、できれば雨漏りをする前に対処しておきたいところ。とはいえ、屋上の異常に早めに気付けないことも多いのです。ここでは、屋上の異常に早めに気付けない理由と、防水調査の重要性をお伝えします。

屋上の異常に早めに気付けない理由

マンションの屋上の異常には、早めに気付けないことの方が多いと言います。なぜなら、マンションの屋上は立ち入りが制限されていることが多いため、屋上を確認する機械が少ないからです。また防水材の内部の状態が目視できないことも、屋上の異常に気付くのが遅れる理由。

たとえば、マンションの住人や管理会社は、マンション内部で雨漏りや水漏れが発生してから、屋上の異常に気付くのです。

雨漏りや漏水になる前に防水の異常に気付くためにも、定期的に屋上や陸屋根の防水材を調査することが大切です。異常の早期発見が建物のダメージを軽減させ、資産価値の維持に繋がります。

屋上や陸屋根の防水調査が重要

劣化部分からの浸水を防ぐためにも、定期的な防水材の検査は重要です。建物や陸屋根は防水が施されていても、日光や雨水で晒されながら長い年月を経ると徐々に劣化するからです。

たとえば屋上や陸屋根の防水層における破れや浮きは、雨水による浸水の原因です。雨水が侵入すると、建物の強度が低下して、寿命も縮みます。とくに屋上を防水しているのに雨漏りが発生すると、目に見えない所で腐食が進んでいる可能性も。

目に見えないところは専門家が調べないと異常が分からないので、早めに専門家へ調査を依頼するべきでしょう。

マンション屋上のタイプ別における防水方法

マンション屋上のタイプ別の防水方法は次の通りです。

マンション屋上のタイプ主な防水工法
非歩行型の陸屋根アスファルト露出防水
シート防水
歩行型の陸屋根アスファルト防水押え
コンクリート仕上げ
勾配屋根アスファルト葺き仕上げ

各マンション屋上のタイプによって、強度や意匠性を考慮した防水工法が選択されます。以降で分かりやすく解説するので、参考にしてください。

非歩行型の陸屋根にはアスファルト露出防水

非歩行型の屋上は、屋根の荷重を抑えたい場合に設置されます。そのため、屋根に設備を設けないため人が歩くような仕様にもなっていません。とはいえ、配管を埋設するときは、補強材を設けて歩けるようにする場合もあります。採用される防水法は、アスファルト露出防水やシート防水仕上げです。

歩行型の陸屋根にはアスファルト防水押え

歩行型の屋上は、多目的な使われ方をするタイプです。たとえば、設備機器が置かれたり、屋上駐車場として利用されたり、屋上庭園として使われたりと用途が多岐にわたります。防水にはアスファルト防水押えや、コンクリート仕上げが利用されます。

勾配屋根にはアスファルト葺き仕上げ

勾配屋根が使われるのは、デザインを重視したり、屋根の水たまりを防いだりする場合です。屋根を色彩が外から確認できるので、建物のイメージアップになります。使われる防水法は、アスファルト葺き仕上げなどがあります。

次に各防水工法の具体的な内容を解説します。

屋上や陸屋根の防水工法

ビルの屋根や屋上の防水工法は、次の通りです。

  1. 塗膜防水工法
  2. アスファルト押さ防水工法
  3. アスファルト露出防水工法
  4. シート防水工法

それぞれの工法について、仕様や種類、材料を詳しく見ていきましょう。

塗膜防水工法|形状が複雑な防水にも対応

屋根・陸屋根防水

塗膜防水工法とは硬化剤が硬くなる反応を利用して、膜を造って防水をする方法です。膜を造る際は、高分子化合物を主体に液状の材料を所定の厚さに塗布します。塗膜防水工法を利用すると、形状が複雑な屋根や屋上に防水層を造るのが簡単です。その反面、下地を正確に仕上げる技術が必要で、施工環境にも配慮が必要があります。

塗膜防水工法で利用される材料は次の通りです。

  • ウレタン樹脂系
  • ゴムアス系
  • アクリルゴム系
  • 軟質ポリエステル系
  • ポリマーセメント系

またFRP防水も塗膜防水工法の一種ですが、FRP防水は新築で利用されるこも多いです。一方で、ほとんどの塗膜防水工法は改修工事の利用がメインで、新築で利用されることは少ないです。

アスファルト押え防水工法|耐用年数が長い

アスファルト押え防水工法とはアスファルト防水層の上に、押えコンクリートを打設して、歩行や日光などで起こるアスファルトの劣化を緩和させる方法。防水の中でも最もメジャーな工法で、コンクリート仕上げのビル屋上は、アスファルト押えが採用されていることも多いのです。

標準耐用年数は15年~20年とされていて、長い場合は60年以上が経過した防水層でも使われ続けている事例もあります。耐久性が高かったり実績もあったりするため、信頼性が高い防水工法だと言えるでしょう。特殊な押え工法だと、コンクリートではなく砂利を利用した砂利押え工法もあります。

アスファルト露出防水工法|ルーフィングで劣化を抑える

アスファルト露出防水工法とは、ルーフィングと言われるシート状の防水層を露出させた工法で、コンクリートの押さえ層を設けません。

合成繊維にアスファルトを含侵させたルーフィングを、屋上表面に直に露出させるので、屋上に人の出入りが少ない場合に採用されることが多い工法です。

劣化の進行を防ぐために、コンクリート押えの代わりにルーフィングで防水層を保護します。ルーフィングには防水機能はなく、防水層を保護するのが目的です。

シート防水工法|シートで広範囲を一度にカバーできる

シート防水工法とは、貼り合わせたシートを利用して防水をする方法です。シートを使って広範囲を一度に防水できるメリットがあります。使われるシートは次の通りです。

  • 塩化ビニル樹脂系シート
  • 加硫ゴム系シート
  • 非加硫ゴム系シート

シート防水工法は露出工法なので、屋上表面を目視で確認すれば、シート防水が使われていることが分かります。とはいえコンクリートで押えることもあるので、アスファルト押えとシート防水工法との違いが分からないこともあります。目視では分からない場合は、新築の設計図や仕様書で確認する必要があります。

屋上防水の耐用年数と劣化診断について

屋上防水層の耐用年数は建物の立地や仕様、気象条件なので異なるので、一律で工法ごとに規定するのが難しいです。とはいえ、防水層の改修を検討するための目安は存在します。

端的に考えると、漏水した時が耐用年数の時期だったと言えます。とはいえ、耐用年数が何年なのかというデータは、どのメーカーでも公表されていません。ここでは、防水層の耐用年数や防水層劣化診断について解説します。

屋上防水の耐用年数について

国土交通省の技術調査課で作成された総合技術開発プロジェクト(総プロ)によると、防水層の耐用年数は次の通りです。

防水工法耐用年数
アスファルト防水押えコンクリート仕上げ17年
露出アスファルト防水13年
シート防水(塩ビシート・ ゴムシート)13年
ウレタン塗膜防水10年

耐用年数を決める要因

露出防水で使われるウレタンゴム系の塗膜防水は、塗膜の厚みによって耐用年数が異なります。たとえば、厚みが2mm程度であれば、耐用年数が8~10年。厚みが3mmであれば耐用年数は10~12年が目安です。

また防水で使う塗料の性能でも、ウレタンゴムの耐用年数は異なります。たとえば、塗膜防水の表面に塗布されるトップコートと言われる保護塗料の影響があります。トップコート自体に、防水の機能はないのですが、防水層を保護する役割はあります。そのため、トップコートの性能でも耐用年数は異なります。

耐用年数を測る防水層劣化診断とは

防水層劣化診断は、現地の条件や状況、経年によって変わる建物の劣化状況を判断するために必要です。劣化状況を正確に把握すると、建物の部分的な補修程度で対処できる状態なのか、もしくは大規模な防水工事で全体の劣化を補修すべき状態なのかを決められます。

とくに最近は、アスファルト防水が改良された改質タイプのアスファルト防止や通気絶縁工法によるウレタン防水などがあり、標準の耐用年数が当てはまらないこともあります。耐用年数を把握するためにも、防水層劣化診断は必要だと言えます。

改質アスファルトトーチ工法による屋上防水9つの手順

ここでは、改質アスファルトトーチ工法による屋上防水の作業手順をご紹介します。

改質アスファルトトーチ工法とは

改質アスファルトトーチ工法(以降では、「トーチ工法」とする)とは既存の防水層にある不具合箇所を切開し、トーチバーナーで加熱融解させて、膨れ箇所を補修する工法です。トーチ工法は、アスファルトの貼り増しなので、新規の防水層を既存の防水層の上に貼る「被せ工法」とは区別されます。

トーチ工法の特徴は、シートのジョイント部分で水密性を確保している事です。幅105cmのシートを10cmずつ重ねてトーチバーナーで加熱融解しながら、シート同士を一体化させます。それと同時に、アスファルトの防水層にも接着させる必要があるため、トーチ工法には熟練が必要です。

以下でトーチ工法の防水手順を解説します。

改質アスファルトトーチ工法9つの手順

改質アスファルトトーチ工法は9つの手順からなります。それぞれ分かりやすく解説するので、参考にしてください。

 手順1  高圧洗浄で清掃する

 手順2  勾配を調整する

接着を妨げるレイタンスやホコリ、油といった不要なごみを高圧水で完全に除去します。

ドレンへの排水不良や部分的な水たまりを防ぐために、屋上表面をモルタルで整え、全体の勾配を調節します。

 手順3  プライマーを塗布する

プライマーをゴムコテでこすり付け、ルーフィング材の接着を強化します。

 手順4  浮きや破れを補修する

ルーフィングの浮きや破れといった不良部分を切開し、貼り直してバーナーの熱で補修します。

 手順5  脱気筒を取り付け不識物で補強する

脱気筒を取り付けたうえで、不識物を貼り補強。出ズミや入ズミ、パイプ回り、ドレン回りも同様に補強します。

 手順6  平場にルーフィング貼る

トーチバーナーを使って平場に改質アスファルト製のルーフィングシートを貼付。シート同士は10cmの幅で重ね、シート内には空気が含まれないように注意しましょう。

 手順7   立上がりにルーフィングを貼る

シートをパラペットのアゴ部分まで立ち上げ、平場と同様にルーフィングを貼り付けます。

 手順8   シートの端をアルミフラットバーで固定する

シートの端をアルミでできたフラットバーで固定し、コーキングを取り合い部分に打ち込みます。

 手順9   トップコートを塗布する

シート表面のゴミ・ホコリ等を取り除いき、その上からトップコートを塗布して防水層を紫外線から保護します。

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